駅伝大会も、いよいよ目前に迫り、屋上

で練習をしていた私達は、グランドに降

りて練習することになった。


堕威と成宮さんは、身体全体がキュッと

引き締まって、すっかり駅伝選手らしく

なった。でも、私達に気づいて、嬉しそ

うに両手を振る姿は、やっぱりあの二人

って感じがする。


それにしても、コーチは今日もダンディ

だなあ。あんな素敵な人に指導してもら

えるなんて、ほんと羨ましい。


「なに、ガン見してる」

『りゅ、琉聖くん!?』


「よそ見してんじゃねえぞ」

『はあい』


うちの琉聖くんは、厳しいです。


「始めようぜ!!」


号令がかかり、応援練習が始まった。


ドドドドドドドド、ドンッ!!


「フレー!フレー!桜南!!」


「龍斗!!」


仲間が叫んだ。


先月辺りから、傷が絶えない龍斗くん。

今日も、遅れるって言ってたから、みん

なで心配してた。


傷の訳を聞いても「何でもねえよ」って

笑うばかりで、琉聖くんが「本人が話し

たくなるまで待っててやろうぜ」って言

ってた矢先だった。


龍斗くんは、他校の不良グループに引き

連れられて、私達の前に突き出された。


「アンタら、このガキの仲間か?」