今までにない程の大群のゾンビたちに奇襲され、明美たちは息も切れ切れに闘っていた。
 長い槍で、回りの敵を一掃する和己。
 剣で、迫り来るゾンビを凪払う聖。
 細剣で、身軽さを活かし、確実にゾンビをしとめていく明美。
 それぞれ皆、疲れが顔に現れていた。
 その三人に守られながら援護をしているはずのひとみは、大地に膝を付き両手を組み天に向かい祈ってはいるものの、顔色は青白く今にも倒れそうだった。
 皆が楽に戦えるように、何度も聖なる祈りを続ける。しかし、それでも間に合わない。倒しては次々と現れるゾンビたちにどこまで体力が持つか……そんな状態が続いていた。

「もうひとみも限界だよ!」

 チラリと後方を振り返った明美が、ひとみの精神力がぎりぎりなところまで来ていることに気付く。自分たちも限界に近いことを、剣の柄を持つ手が震えて教えている。
 交代なしにひたすら三人で戦うチームに対し、ゾンビたちのほうは倒しても次々と新たなゾンビが現れる。明らかに分が悪いのは明美たちの方だった。
 暑さも感じない季節に大汗をかき、息を弾ませている。
 先の見えない戦いに、根をあげそうになったとき。
  目の前のゾンビたちが、波が引くように姿を消していった。
 その光景に驚きつつも、チームを包む空気は安堵のほうが大きかった。

「た、助かった……」

 床に剣を突き立て柄に体重をかけるように、ヘロヘロと聖が座り込む。

「……さすがにキツい」

 片手に愛槍を持った和己が、肩で大きく息を付く。その顔色からは疲労の色が伺える。

「ひとみっ」

 明美が額の汗を拭いながらひとみを振り返えった。