「いらっしゃいませ、当店の会員証はお持ちですか?」

オープンスクールを終えた私と友達の高井美夜子(タカイミヨコ)は大学の最寄りにあるカラオケに寄ることにした。美夜子によると最近できたものらしく、内装はとても綺麗だ。

「あ、いえ、持ってないです。」

基本的に地元のあまり有名でないお店しか使わないのでチェーン店などの会員証はあまり持っていない。それは美夜子も同じだ。

「当店は完全会員制となっておりますので、こちらの用紙の太枠内の必要事項をご記入ください。本日身分証などはお持ちですか?」

学生証を取り出して渡し、代わりにカウンターに出された用紙に目を滑らせる。
名前、葉山佳菜(ハヤマカナ)、生年月日…住所…連絡先…っと。

「はい、書けました」

店員の方に紙を向ける。

「少々お待ちください」