ケータイ小説 野いちご

夜の教室は危険がいっぱい

~ハラハラとドキドキ~

 私、南井沙羅。高校2年生。
 じつはこっそり夜の教室に来ています。
 なんてことはない。明日の数学の宿題を持って帰るのを忘れたのだ。
 他の授業の宿題ならそのまま放置しても良かったのだけれど、数学はだめ。
 だって、先生怖いんだもん。

 職員室はまだ明かりがついていた。そこを足音を立てずこっそり通り抜けると、非常口の小さな明かりだけを頼りに階段を目指した。
 静まり返った夜の学校は、廊下の先が見えないぶん、どこまでも続いているような感覚に陥る。昼とは違う顔を見せていた。
 階段を上がる途中で、学校七不思議を思い出して背中が寒くなる。
 どこの学校にでもあるような話。満月の日は階段が一つ増えるだとか、誰もいないのに音楽室のピアノが鳴るとか。
 普段は鼻で笑っちゃうような話しなのに、こういうときに思い出すと、それが現実に起こりそうで、見えない恐怖から知らず知らずの内に自分を抱きしめていた。
 ほとんど闇ともいえる、空間の中を手探り状態で足音に気を付けて歩いていく。
 自分の教室にたどり着き、あとは宿題を見つけて帰るだけだと考えて、少しだけ気が楽になった。
 二つあるドアのうち、後ろのドアから教室へと入る。
 前のドア? だめ。渋くて、開けるとき引っかかるしうるさいから。
 窓の外から入る頼りない淡い月の光だけが、教室の中を照らしている。といっても、やっぱり闇に近い。
 転んで大きな音をたてないように、手探りで机や椅子を避けて自分の席へと向かう。
 しゃがみこんで机の中から、数学らしき教科書とノートを手に持ったとき、教室の入り口から僅かな物音を聞いた気がした。

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