幼馴染みがいる。


でかくて優しい野球部の幼なじみが。




「夏野、今度の日曜暇?」

「あー、わり。部活あるわ」

「そっかーならしょうがねぇな!野球頑張れよ!」

「おぅさんきゅ!」


友達に肩を叩かれ、彼は目尻にシワを寄せてニカッと笑った。



“土井夏野-どいなつの-”


それなりの強さのこの学校の野球部で

2年生一番の有望株であり3年生に混じって注目を浴びてる彼が、幼馴染み。





「夏野くんはいつでも人気だねぇ。幼馴染みとしては鼻が高いんじゃない?」

「うーん、微妙」

「意地っ張り」


「……違うもん」



ただ、夏野が人気になればなるほど

夏野が有名になればなるほど



距離が開いていく気がして


それが少しだけ寂しい。




「夏野くんも罪な男だよねぇ、ほんと。


でも、わかる気がするなー

カッコいいもんね、夏野くん」



「え?」



クスクスと笑う親友

“井吹夢野-いぶきゆめの-”



吹奏楽部でトランペットを吹いてる彼女の言葉に開いた口がふさがらなかった。