数日後、シュウの仕事が休みだったので、私達はリサちゃん人形の衣装生地を買いに二駅先のデパートに来ていた。


最近、固定客が増えた。

自分がデザインして作った服だけを売るんじゃなくて、“こんなのが欲しい!”という要望を受けて作ったりもしている。


今日は、ピンクのレースをあしらったウェディングドレスを作って欲しいという注文を受け、その生地の調達に来たのだ。

このお客様は、来月行われる結婚式でお気に入りの人形に自分と同じデザインで色違いのウェディングドレスを着せたい、ということだった。


ミニチュアのウェディングドレスなんて作ったことないけど、そんな素敵な思い出の一ページに私の作ったものをお供させてもらえるということで、私の気合いも十分だ。



「良い生地があってよかったな」


「うん。イメージ以上の物があって本当に良かったよ」



買い物を終え、カフェでお茶をしていると、シュウが「そういえば」と何気なく言った。



「俺、今度検診受けることになったんだ」


「検診?」


「そう。年に数回は設備が整った病院で検診を受けた方がいいだろうって哲二さんが。哲二さんに診てもらうだけでいいって言ったんだけどね」



シュウの言葉に胸が騒つき始める。

この間倒れた時のことを思い出した。
あの時はただの過労だって言ってたけど、本当にそうだったのかな?

だって検診だなんて急だよね?
ここに来てから三ヶ月になるのに、ちょっと唐突過ぎない?