――斗真 Side――


『……おはよう、斗真。』

「――颯太。」


朝、家を出てすぐ、隣の家から出てきた颯太と出くわした。

低血圧で朝が苦手な俺とは違い、朝っぱらから爽やかな笑顔を浮かべた颯太と、いつものように並んで学校へ行く。


『昨日、サボったでしょ。生徒会役員会議。』

「……俺は生徒会に入ったつもりはない。」

『また、斗真は素直じゃないな。…もう2ヶ月だよ、いい加減諦めたら?』


――誰のせいだと思ってんだよ。

無理矢理俺を生徒会に入らせた張本人は、何の悪びれもなく笑っている。


2ヶ月前、周りは入学早々何部に入るのかと無駄に騒いでいた頃、俺は颯太に生徒会に入らないかと誘われた。

中学時代、生徒会長を務めていた颯太は、高校でも生徒会に入りたいという気持ちはあったらしいが、一人じゃ寂しいと俺を誘ってきたのだ。

元々部活なんざメンドイもんに入るつもりもなかった俺は当然、颯太の誘いを断ったのだが――…

この天使のような笑顔を浮かべながら、コイツは勝手に俺の入部届を改ざんして生徒会に提出しやがったんだ。


おかげで俺はコイツと一緒に生徒会入りを果たし、なぜか1年にも関わらず副会長に任命されてしまっている。

だが、副会長になったところで俺にはやる気がないわけだから、生徒会の仕事はほとんど放棄してサボっている。

今じゃ、そのことについて颯太にガミガミ文句を言われる毎日だ。