「これ、とっても美味しいですね!」

「分かってんな、紗絵ちゃん!次、これもくってみ?」



カフェでのバイト中。


掃除に励む俺。


楽しそうな紗絵と仁さん。


なんとなく、ムッ。



「コウ、掃除が荒くなってんぞ?これも飲め飲め」

「紗絵ばっかに優しくしてないで、たまには俺にも優しくしてくださいよ・・」



紗絵が初めて俺の家に来てから、毎日のように紗絵をカフェに連れてきたらいつの間にか仁さんとも仲良しだ。


家に帰れない日はカフェの事務所か、俺の部屋で寝るようになった。


深夜にうろついてるのかと思うと心配で仕方ないから、ぶっちゃけ安心。



「コウくんっ!私も手伝う!」


「ははっ、いーよ。ゆっくり食べてな?」



クリームつけっぱなしの紗絵が俺の方へとかけてくる。



「いただきっ」



口の端についてるクリームを人差し指で掬ってそのまま食べた。



「こ、コウくん・・・」

「ん、何?」



俯いてもじもじしてる紗絵。



「お前ら兄妹みたいに仲良しだよな、ほんと」



兄妹・・ねぇ。


まぁ、紗絵は可愛いし。


本当・・可愛いし。


ほっとけないし、心配だし。


これはやっぱり、兄が妹を心配するのと同じなんだろうか。