「すずちゃん、おはよう」



「へっ!?あ、お、おはよう!」



肩を叩かれハッとする。



結局昨日、教科書を持って帰り損ねたあたしは、一番乗りで教室にやって来て数学の課題に取り組んでいた。


顔を見た瞬間、彼女達の昨日の言葉が蘇って来て胸がチクチク痛む。



「あれ?課題やってないの?」



「う、うん。教科書忘れて帰っちゃって……」



「え〜!ドジだね」



「でしょ?あははー」



笑いたくもないのに、自然と笑っている自分がいた。


きっと笑顔が引きつっているだろうけど、彼女達はそんなことには気付かない。



なぜなら……彼女達の興味は、すでに別のところに移っていたから。