その夜、消灯前に、喉が渇いたので、飲み物を買いに行こうか迷っていると、





「ケホッ」






咳が出はじめた。






「ケホッケホッケホッ。ゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボ
はぁはぁ、ケホッケホッケホッ、ヒィヒィヒィ、ゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボ」









突然、激しい咳でてきた。






どうやっても止めることができない。







苦しっ、いやっ、苦しい。

       





ナース、、、、、









コール、、、、、













「どうされましたか?」






「ゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボ」





はぁっはぁっはぁっ、  






こん、、、なの、、、は、、、じめ、、て、、、









「すぐ行きますね!」






「ゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボゲボ」





ガラッ





と扉が開いたと共に、カーテンも開き、看護師さんとそのあとに先生が入ってきた。





先生は知らない先生だった。






初めて見る先生に、少し不安を感じた。
     




「かなちゃん!かなちゃん!」






と看護師さんに声をかけられる。





意識を保つのに必死になっていると、再び扉の開く音がした。






「かな!しっかりしろ!」





その声は、佐藤先生?








私は、佐藤先生の声に安心し、気を抜きかけたころ、






ペチッペチッ







と、頬を叩かれた。





佐藤先生が目の前で、私の頬を軽く叩く。





すると私は、意識を取り戻していた。





















佐藤先生の処置が始まり、なんとか回復した。






「ふー、やっぱり。






夜に発作が出たのは初めてじゃないだろ?」






という問い掛けに、いつもなら黙ってしまう私だけど、これからは違う。





ちゃんと病気に立ち向かわなきゃ。






「は、、、い。






ちゃんと言わなくて、






ごめんなさい。」





と、酸素マスクをしながら言うと、なんだか素直になれた自分に驚きつつも。今まで発作が出たことを誰にも言わず、我慢していたことから、糸が切れたようフッと涙が溢れ出た。





ポロポロと流れる涙は、今日で二回目。




目から耳に向かって涙がつたう。   





耳に涙が入ろうとしかけたところで、佐藤先生にの手が伸び、涙が止まった。






「前にも言ったよな?






ここは病院だ。






何かあれば、すぐに看護師は飛んで来る。






体に異変があれば、俺達が全力で治すから。






一人で抱え込むな。





これからも。」




 

その言葉に、ようやく






甘えていいんだ。






と思うと、涙が溢れ出た。





「ヒッ、、、ヒッ、、、ヒック」





「呼吸がしづらくなるから、もう泣くな。






少し様子みて、よさそうなら、勉強始めるぞ。」






私は、涙が出そうになるのをこらえて、






「は、、、い。」





と返事をした。





処置が終わった先生は、





「今日は、当直じゃないから、帰るかな。」





と、独り言のようにいい、部屋から出て行った。






当直じゃないのに残ってくれてた。







私の喘息が、夜に出てることを知っていて。






と思うと、再び涙が出てきたけど、呼吸が乱れて、また先生を呼び戻すことにならないようにと、涙をこらえた。







その夜、マスクを付けていたからか、ゆっくり眠ることかできた。