深夜二時頃、明日と言っても、今日になるのだが、バイトも休みということもあり、夜ふかしをする。

やらなければならない事がある訳ではなく、かといってやりたい事があるわけでもない。


なんというか、なんとなくである。


小さい頃、夜の九時を過ぎると両親に寝るように言われていた。

自分はまだまだ起きていたい、眠くないなどの反論は意味をなさず渋々布団の中へと身を収める、という事は多々あった。

まだ『夜』と言うものの経験が少ない為であったのか、はたまた本当に眠くなかった為なのか理由は解らない。
いや、今思い返すと一つだけ期待している物があったりした。
時折、父が作る夜食の即席麺である。

夜九時を回る前に父が即席麺を作る事がごく稀にあった。
その時に食べた即席麺は、子供の時の私にはそれはそれは美味しいものだったのである。
父が作る即席麺は、ざく切りにした茹でキャベツにシャキシャキ感の堪らないもやしが入っており、中心には半熟に仕込まれた卵が少量の麺を自分の中に取り込みながら陣取っている。

あの当時の私にとっては父の作る即席麺は、特別なものだったのである。

それを自分が寝ている間に食べられるなどとんでもない、故に『喉が乾いた』、『トイレに行きたい』などと何かしらの理由をつけては目を覚ましている時間を多くしようと努力していたのは、懐かしい思い出である。

そして、翌朝起こされた時に感じる睡眠の欲に早く寝なかった事を後悔する。

学校を休みたいなどと駄々をこねるが、喝を入れられ夜とは打って変わり渋々と布団から出る始末。