「深紅〜!
教科書まだ返してないでしょ?
食べ終わったら一緒に行こーよ!」
「柊也くん、びっくりだろ〜ねっ!」
ランチタイム。
メーワクな提案で盛り上がる2人に…
作り笑いで軽く頷く。
柊也くんと近づく貴重な時間、
邪魔されたくないのに…
ま、自業自得なんだけどさ。
そして昼休み…
握りしめて、何気にボロった教科書を持ってJクラへ。
「柊也ぁ!
うちの深紅がお世話になりましたぁ!」
元気よく突入する香織に…
豊田と話してた柊也くんが、キョトンとした顔を向けて、その視線がこっちに移動する。
声を掛けよーとした瞬間、
「柊也く〜ん!」
隣の穂花が手を振った。
柊也くんは…
優しく微笑んで、軽く手をあげる。
胸がギュって、苦しくなった…
それは、今の柊也くんの初笑顔にめちゃくちゃトキめいたから。
ってだけなら、良かったのに…
その優しい笑顔は、あたしじゃないコに向けられてる。
昔は…
シャイな柊也くんの笑顔は、あたしにばっか向いてたのに。
今は…
笑顔どころか、手を振ってもシカトだし。