あれから…、


休み時間や放課後など、
一之瀬くんと佳奈さんが2人でいるところを
よく見かけるようになった



2人とも、幸せそうに笑ってる




それでも、
付き合ってはいないようで…






「加藤、相談~…聞いてよ」


相変わらず、一之瀬くんは
悩んでいるようす



「どうしたの…?」


「佳奈さんの好きな人って
 誰だと思う?」



じっと私を見つめて
真剣な表情の一之瀬くん



「…えっ…」


そ、そんなこと言われても…

佳奈さんのこと、
よく分からないし…


うーん…、と考え込んでいると




「…俺、諦めたほうがいいのかな…」


一之瀬くんは
弱気な発言をこぼす




「…どうして…?」




「…本当に好きだから、告白するのが怖い

 告白して、ギクシャクするくらいなら
 今のままのほうが…

 いいのかな…」



眉を寄せて、
ポツリポツリと呟く一之瀬くん




「…分かるなぁ…その気持ち」

思わず、言葉が出てしまった



「…えっ…?」



顔をあげてキョトンと
首をかしげる一之瀬くん



「…あっ、いや…、えっと」


慌てて、否定しようと言葉を探すも
うまく伝えられない