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「この川を越えたら、水の国なんだよね」


雷の国と水の国の境にある川。その川の雷の国側に花音達はいた。


「で、どうやって入り込むんだ?まさか、正面からいくつもりじゃないよな?」

「うん。さすがに、それはね。・・・どうしようか」

「その方法だけどな」


刹那に聞かれて、花音が呟いた時、紫影が口を開いた。


「俺がお前達を捕まえたってことにして、水の国へ連れていく。一度牢へ入ってもらうことにはなるけど、タイミングを見計らって出してやるから」

「本当?本当は私達を捕まえるつもりで近付いて、牢に入れたらそのままってことない?」

「信用出来ないか?」


琴音の言葉に、紫影がそう返し、それを聞いた美咲も声をあげる。


「だって、貴方も陰の一族でしょ?警戒くらいするよ」

「大丈夫だよ。紫影くんは騙すようなことする人じゃないから」

「他に方法もないしな。任せていいんじゃないか?」


花音が紫影を庇うように言うと、風夜がそう続けた。