『先に行け』

『次もまた会えるよ』


そう言った風夜と光輝が、夜天と雷牙が消えていく。

彼等に花音の伸ばした手は届かなかった。


「っ!!」


飛び起きた花音は、其処が自分の部屋だと気付いて、息をはく。


(そうか。私、泣き疲れて寝ちゃってたんだ)


そう思っていると、戻ってくる前のことを思い出して、再び涙が出そうになる。

それを堪え、花音は自室を出た。


「あ、花音。もう大丈夫なの?」


リビングに行くと、母がいて優しい笑みを浮かべる。


「お帰り、花音」


休みだったのか、父の姿もあり、同じ様に笑みを浮かべていた。


「お母さん・・・、お父さん・・・」

「一体何があったのか、聞いてもいい?」


戻ってきた時にあれだけ取り乱していたのだ。

いつかは聞かれるだろうとは思っていたが、今とは思わなかった。

それでも色々なことがありすぎて、一人で抱えるのは無理があった。