「起立、礼。」

「「「ありがとうございました」」」



暇な数学の時間も終わり、次は昼休み――そうご飯だ。



「よし、」




窓側の後ろから三番目のこの席はなかなか良い。但し冬は寒いが仕方がない。




袋から本日の昼食のパンを取り出す。
どうでもいいが私は米派だ。




「ちょっと咲希~。食べ始めるの早いよ!」

「…七海。私は早く食べて昼寝をしたいんだ」





いそいそと食べ始める私を止めているのは茶髪の髪をポニーテールにした、美少女・錦見七海。





スカート丈は校則違反の短さで緩く制服を着崩しているが、立派なBクラスの人間である。







「もー。咲希は私に冷たい!!もっと優しくしてよ!!七海ちゃん起こっちゃうぞ!!」








茶化したように言ってはいるが、この子が怒っても可愛いだけである。
そこでチラチラ見ている男子たちが喜ぶだけだぞ。






「良いから早く食べなよ。私先に食べ終わるよ。」






さっさと食べる私に七海はむすくれ一緒の机でとても可愛らしい弁当を食べ出した。







「咲希は酷い」なんて言うので「はいはいゴメンね。後でお菓子あげるから」と言えばコロッと機嫌が直った。チョロいもんである。








チロルで良いかなと、また喋りだす彼女に相槌を打ちながら廊下を何気なく見たときであった
















彼が、そこにいた















「あっ、」


思わず漏れ出た言葉に七海が反応し、少しすると原因が分かったらしく呟いた



「安田日向君…か、」





安田日向

所属は一年Aクラス。
常にトップ10入りを果たしている秀才。
運動神経もよく、顔立ちもいい。
身長は高く、色白でスラッと伸びた長い手足と色素の薄い髪。長い睫毛に縁取られた瞳は茶色に近く、どこか外人を思わせる。




つまりイケメンだ。