次の日、帰宅した七海子は、夕食の支度をしながら、花代さんを待った。
 

やがて玄関の方から、能天気な声が聞こえてきて、気を引き締める。
 

花代さんは、すぐに台所に顔を出した。


「ただま~。あ、いい匂い」


「おかえり、花代さん」


「今日の夕飯なぁに?」


「キーマカレーだよ」
 

花代さんは、フライパンを覗き込んで、


「あ、ピーマン入れたの……?」


「え、いつも入れてるじゃん……」


「うん、まあ……もう、大丈夫なのかな」


「なにが?」


「リンタロ君が……」



「え?」