「どうやったらあいつと仲良くなれる?」

「ブッ」

 授業真っ只中の、洋平と琉華以外誰もいない屋上で、琉華からの思わぬ質問に洋平は飲んでいた缶コーヒーを吹き出した。

「何言ってんだよ、お前らもう付き合ってんだろ?」

「あいつ、俺のこと名前で呼ばないんだよ」

 真面目な表情で琉華が言った。

「お前がそんなこと気にするか」

 いつも澄ました態度で何を考えているのかわからない琉華が、今日は手に取るようにわかる。

「教えろよ、どうやったらあいつが名前で呼ぶのか。お前ら四人とも名前で呼び合ってるだろ」

 真剣な眼差しで聞いてくる琉華に、洋平はやれやれというふうに肩をすくめた。

「俺らとお前とじゃ暁月との関係性が違うじゃねえか。俺らは友達、お前は恋人だろ。暁月も恥ずかしいんだよ。待ってりゃそのうち名前で呼ぶさ。それか、強制的に呼ばせれば呼ぶだろ」

 洋平はそう答えて、琉華に手を振って屋上から去った。

 琉華は洋平の背中を見ながら、不満げにため息をついて仰向けになった。

「ただの友達があんな情報知ってるかよ」