「ね、それでねぇ、潤ったらさぁ~♪」



朝から広がる青い空には、眩しいくらいの太陽があたし達を照らす。



あたしの前にはその太陽に負けないくらいの笑顔の実夕がいる。



昨日、約束どおり実夕と矢口潤は一緒に帰った。



その話を嬉しそうにあたしに話す実夕。



ずっとそんな話の聞き役のあたし。



聞きたくなんかない。



あたしは適当に頷きながら歩いた。



「映画もさ、この前結局行かなかったんだよ。だから、今度こそ行こうって言ったらさ、前は行ってもいいって言ってたのにぃ、俺そんな事言ったっけ??って言うんだよぉ。潤ってなんか素っ気ないとこあるぅ~。まぁ、そんなところもカッコイイんだけどねぇ」



矢口潤の話を実夕から聞きたくない。



なのに実夕の口から聞こえてくる話題はこればかり。



ため息しか出てこないあたしと、



明るい表情の実夕。



あたしの小さなため息にはきっと実夕は気づかない。