【七彩Side】
「ただいまです!」
「……ただいま」
2人揃って家に着く。
飛鳥とこうして2人でただいまを言うなんて、久しぶりで少しうれしい。
「そういえば七彩、バイト時間平気か?」
腕時計をチラッとみると、シフト5分前。
「急ぐ!!あと5分だった!」
飛鳥が晴飛くんとの会話に割り込まなかったら、忘れてたかも!
危なかった。
私は急いで階段をかけあがり、荷物を3階の部屋に投げ入れる。
下からは、飛鳥の、転げ落ちるなよー、なんて声が聞こえるけど、そういうことを言うとフラグがたつと私は知っている。
急いでるときに一段飛ばしで駆け降りるところを、一段一段をきちんと踏んで降りる。
「おーがんばれよー」
「ありがとう!!」
未だに玄関に突っ立ってる飛鳥の横を通りすぎて、店に向かおうとしたとき、
「急がなくていいわ」
そんな、声が聞こえた。