ゆるしたわけじゃないけど…


心の中で、いいわけしながらも、

あやめは、公園に来ていた。



手には、ピンクのコイチゴちゃんを二つにぎりしめている。



「おそいな…」


もう公園に来てもいい時間なのに、

樹美は姿をあらわさない。



「また、お兄さんのとこに行ったのかな?」



とりあえず、お兄さんのマンションに行ってみる事にした。



部屋に入れてくれなくても、

これ、わたして、すぐ帰るだけだから。


あ…でも、これあげたら、

もしかしたら、中に入れてくれるかな…



ちょっと期待しながら、

あやめはドアチャイムを鳴らした。



何度ボタンを押しても、

誰も出てこない。



いないのかな?…



帰ろうとした時、

部屋の中から、物音がした。



「いるの?」



あやめは、窓から部屋をのぞいた。