「はぁー。私が馬鹿だった。」


私は自分の教室に入るなり大きなため息をついて席に座った。


「また何を悩んでるの美織は。」


由奈と真美が私に詰めかけてくる。私市村美織は半年前から、隣のクラスの転校生の桐生渉と付き合っている。



「あいつが気に入らないの!!」


わたしはそう言って、廊下で何やら女子とイチャイチャしてる桐生をビシッと指差す。差された本人は全く気づかない。そんなに女の子に夢中なわけ。

「あー。なんかわざとらしいよね。あいつも」

「ほんとにね。美織に見せつけてるでしょ」

「本当にムカツク!」


私は鼻息をぷんぷんとしながら桐生を睨みつける。付き合って半年もたったのに、手をつないで歩くまでしかしていない。


キスだって、もちろんそれ以上のことだってまだ。