ーーーとある廃ビルの一室。

殺人鬼兄弟、師忘夜と師忘依はこの場所を寝ぐらにしていた。


ドアを開け、2人は入ると夜はすぐにベッドにダイブした。
一方依は、イスに座り、テーブルに置いた荷物の整理を始めた。



「あーーーつかーれたーー!!
もうあそこの学校の女の子粘着すぎ!!この一週間で10回以上告られたよ!!」

「夜兄も…無視、すれば…いーのに」

「それは出来ないよ。我が弟…おっと、東雲依昌先生だね。彼が無愛想なのに俺まで無愛想になるわけにはいかないでしょ?」

「でも…ターゲット、近づけ…ない」

「まぁねぇ〜。俺はいつも女の子近くに終始いるし、依は依で親衛隊?みたいなのが見張ってるし」

「……ホント…邪魔」

「俺の方はこれはこれで利点はあるから良いけどさ〜」

「………もしかして……」



依が嫌な顔を出して兄を見る。見られた兄は、テヘッというかわい子ぶったポーズで言った。



「そ!依の予想通り〜。少しは欲求不満を発散できるしぃ〜。もう片手では足りないかなっ!1人は音楽の先生なんだよねぇ〜舞島先生っていってねぇ」

「興味ない…てか大丈夫?…一ヶ月しかいない、けど……」

「ひど…まあ、大丈夫っしょ。1度きりだし、臨時期間終わってもしつこく付きまとって来たら消すし」

「…ならいい……」

「依もそーゆー子作ってんじゃないのぉ?」

「は?……いないし……」

「ホントに?
じゃあなんで女の子をお姫様抱っこしながら保健室入ってしばらく出てこなかったのかなぁ?」

「……なんで…そこまで知ってるの…」

「兄の情報収集力を舐めないで頂きたい!!」



えへんと寝ながら胸を張る夜に再びため息をつく依。



「で、何があった?」

「めんどくさい…」

「いいじゃん〜ねぇ〜」



兄の頼みは断れず、渋々口を開く弟。



「………授業で…ケガした子が…足くじいて、動けなくて、保健室に運んで……何故か離して、くれなくて……
…“色目”的なこと、を使ってきたから……めんどくなって………
………べろちゅー………して、気絶した…んで戻った…」



…しばらく間があり。



「あははははははは!!!!ひぃーー!!ぶはっ!!ぎゃははははははは!!!!腹痛いぃいいいぃぃい!!!!」



ベッドの上で笑い転げる夜に、依は少しイラっとした。