ケータイ小説 野いちご

【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?

第1章
カン違いラブレター






11月中旬のある朝。


「美憂!ほら、星司くん来たよ!渡してきなよ!」



「え、あ、うぅ……」



私は中庭でたくさんの女子に囲まれたある男の子に向かって背中を押された。
でも、勇気が出ず、引き下がってしまった。



「あーあ、モタモタしてるから星司くん、行っちゃったじゃない。これで何回目?」



「ご、5回目です……」



「いつになったら渡すのよ、それ」



親友の七瀬葵(ななせあおい)ちゃんが、私の手にある手紙を指さした。



「わ、わかんない……」



高校2年の私、桐野美憂(きりのみゆう)は恋をしています。
お相手は学校で王子様的存在の矢野星司(やのせいじ)くん。
いつも女子に囲まれていて、容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群という三拍子を兼ね備えている。


入学式の日、方向音痴で道のわからない私に「一緒に学校まで行こうか」と優しく声をかけてくれて……その日から矢野くんが好きなんだ。

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