翌日のバイトの時間まで私は物凄く長く感じた。
校門から早足でバイト先に向かう。
通用口で時間まで待っていると、今ちゃんと文が一緒に現れた。
文と今ちゃんは同じ学校でクラスも一緒だった。


私は都内の私立の女子高で接点はバイトだけだった。


『よぉ!文早いじゃん。』
今ちゃんが話しかけて来た。私は文を見ながら答えた。

『うん。まぁね。初日だね。大丈夫?』

文はニコリと笑うとサラリと答えた。

『別に。大丈夫だよ。』


私はその笑顔を見て少しホッとした。
そして、3人は通用口の中に消えて行った。

不思議な事に文はもう前からココにいた様に感じる位スンナリ馴染んでいた。
ゴミ捨てを教えるのに私と一緒に文は歩いていた時ポツリと言った。

『どうだったかな?』

私は文を見ながらクスリと笑って答えた。

『緊張してるのを隠してたでしょ?大丈夫だよ。他の人には分からないから。』

すると文は少し驚いて言った。
『何で分かんの?俺気付かれたこと無いんだけど。』


私はキョトンとして答えた。
『そうなの?あまり自分の事とか話すのも親しくないと無いよね。』

文は更に驚いた表情で私を見つめたが、私は気付かないふりをした。


そして、その夜からバイクの話の輪にSUZUKIのバイクも加わった。