バイトが終わり、皆でたまってバイクの話をすることが私にもごく普通のことになりつつあり、私はみんなから文(あや)と下の名前で呼ばれて違和感を感じなくなった頃、今ちゃんが私に言った。

『明日、俺のダチがバイトの面接に来るんだ。良いヤツだから、宜しく頼むわ。』


『何で私に言うの?みんなの方がおんなじ男なんだから、馴染みやすいんじゃないの?』

すると今ちゃんは私の顔を覗き込み染々言った。
『ソイツ、文みたいな感じがするんだわ。俺さ、初めて文を見たときソイツを思い出したんだわ。だから、話しやすかったんだよね。』


私は少し驚いた。
私みたいな人間が私の他にも居る。
会ってみたい。本当に私に似ているのか確かめたい。強い思いが湧き上がった。


『会ってみないと分かんないけど、今ちゃんの頼みは断れ無いね。』
ニヤリと笑って今ちゃんを見たら、軽くデコピンをされて笑われた。


すると、kawasakiのバイクのマフラーを見ながら、元木さんが私達を呼んだ。

『よう。このマフラー付け替えるとしたら何が良いと思う?』


私と今ちゃんは顔を見合わせて笑ながら元木さんの所に言った。