春
私はこの学校の門を潜り抜けた。
学校に来る途中、小鳥が楽しそうに歌っていた。(この音はレかな?あの音はファだよね)私にしか分からないであろうことを心のなかで小鳥と一緒に歌っていた。
雲ひとつない... ってことはない青空と桜がない入学式。これは入学式と呼べるのだろうか。

入学式
新入生点呼だ。
「井原恭哉」
「はいっ」
「岩澤辰輝」
「はい」
(あの人ものすごく背が高いなぁ... )

入学式が終わり私は保健室の前にいた。なぜなら先輩方の歌にあてられてしまったからだ。こんなとき、絶対音感を持っていることに後悔する。
(ん?これって新入生の誕生日なんじゃ... )ふと見た壁に書いてあった誕生日。運命の人、3月8日はあるかな?なんて思いながら探す。
「あ、あった!!ほんとにあったなんてこのブレスレットすごい。って岩澤辰輝?!」

教室
「すごいじゃん、会いに行こうよ、ね!」
「無理だよぉ、初対面だよ?愛莉」
いけるいけるといいながら私を引きずって行く。
「失礼します、3組の大野と岡崎です、岩澤君はいますか?」
「え、俺?」
「采葉が質問したいらしいから答えてあげてくれる?」
「し、質問なんてないよ!?えっと、あの、その、し、失礼しましたぁぁーー。」
今度は私が愛莉を引きずって教室に戻る。
「愛莉、あんなことしちゃだめだよ?岩澤君に迷惑がかかっちゃうよ?」
「ごめんごめん、でも話すきっかけができたでしょ?」

これが出会いだった。