私の名前は柊。
極々普通の声優である。
今日の仕事は24人の人気声優と一緒に遊園地に行く撮影らしい。
今、私はその待ち合わせ場所に向かっている。
共演する声優さん達はプライベートでもいろいろとしてくれる優しい〝先輩〟達ばかりで私は内心ホッとしている。

柊:此処かな?
  まだ、誰も来てないみたいね‥‥。

私は電信柱に凭れ掛かり携帯で恋人から届いたメールを確認した。
一日に二十件以上届く事もある。
挙句の果てには仕事場まで乗り込んでくる事さえもあるのだ。
電話に応答しなければ怒鳴られるしメールの返事をしなかったら大切な物を捨てられる。
はっきり言って別れたい。
だけど、別れたいと言うと泣きながら私に謝ってくる。
どうしても突き放す事の出来ない私はずるずると今も引きずっているのだ。
メールを返し終わり私は携帯をポケットにしまった。
その途端、電話の着信音が鳴り響いた。
私は急いで携帯を取り出し耳に当てた。
勿論、相手は恋人だ。

恋人:柊。
  男と一緒じゃないよな?

柊:言ったでしょ。
  今日はどうしても男性と一緒になるって。
  仕事の時だって絶対に男性声優は必要なんだからいちいち文句を言わないでちょう
  だい。

恋人:そんなの聞いて無い!!!!
  今すぐ帰ってこい!!!!!!

電話の向こうで怒鳴り声がする。
意味が分からない。
私はちゃんと昨日伝えたはずなのに。
私はそのまま一方的に電話を切った。

梶:柊、どうしたの?
  浮かない顔してるけど‥‥まさか、またあのろくでなし?

柊:うん‥‥‥今すぐ帰って来いって言われたから一方的に切っちゃった‥‥。
  今日は家に帰れないか‥‥‥ホテル探しとかなきゃなぁ‥‥。

梶:だったら家においでよ^ ^

柊:えっ、でも邪魔じゃない?
  梶さんだって恋人は居るでしょう?

梶:恋人は居ないよ片思い中の子なら居るけどね^ ^

柊:梶さんみたいな人に片思いされている子が羨ましいです。

梶:君なんだけどなぁ‥‥

柊:えっ/////////

梶:と、言うわけで今日は俺の家に――――

遊佐:ハイ、ストップ。
  梶君の家に泊まるんなら俺の家来なよ。

柊:えっ、良いんですか?

梶:ちょっと、遊佐さん。
  俺の柊取らないでよ。

遊佐:梶君のじゃなくて俺の柊だ。

柊://///////////////