あー、日差しが気持ちいなあ。眠くなってきちゃうや。
「で、なんで見てるんですか?」
目の前で刀を振るっている彼女をぼんやりと見ていると、ギロッと睨まれながらそう聞かれた。
「いや、別に。ただ興味があるだけだよ」
彼女の強さの根源とかね。
「……嘘ではないようですが、真の目的は私の監視、ですよね? 別に何もしませんよ。時間になるまでただただ素振りしてるだけですから」
へえー。僕の発言が嘘かどうかを識別するだけでなく真の目的まで当ててくるとはね。
「気にしないでよ。僕のことは空気だと思ってくれればいいから」
やっぱりただ者じゃないね。頭の回転は早いし、実力は申し分ない。僕の言動を識別できるほどの洞察力とどんなときでも適切に対処できる判断力。こんな人材、そうはいない。
自然と自身の口角が上がった。
「はあー、わかりました」
こういう子を待ってたんだ。これからおもしろくなりそうだよ。
「ねえ、君はどうしてそんなに頑張るの?」
ずっと見てるのも飽きてきたところで、集中してる彼女にそう問いかけた。
また睨まれたような気がするけど、そこはあえて流しておこう。
「強くなりたいからに決まってるじゃないですか」
単純かつ明確。そこに隠されるのは強い意志。
「どうして強くなりたいの? 今でも十分強いでしょ」
幹部でも彼女に勝てるのは半分もいないだろう。
「私は強くないですよ、全然」
ん?
一瞬、瞳が揺らいだ……。そこに隠されるのは後悔と悲しみ……かな?
「でも……」
「先程言っていた理由ですが、そんなものはありません。強くなるのは自然なことだと私は考えています。この世は今、弱肉強食の時代だと思っています。弱ければ殺され、強ければ生き残る。生きるために強くなる、そう本能が言っています」
僕の言葉を遮り、彼女はそう続けた。
先程の想いを消そうと無理やり蓋をする彼女。
君の心の欠片はどこだい?
「理由があるとするならば、復讐、ですかね」
……っ!
一瞬で、瞳が強い憎しみの色へ変わった。
「復讐?」
「私はある男を必ず殺す」
……笑ってる。自分では気づいていないかもしれないけど、微かに口角が上がってる。
それにこの憎しみの籠った瞳の後ろには快楽が隠れてる。
この子、殺すことを楽しんでいるのか?
「ある男って、誰?」
「沖田さんには関係ありません」
ピシッと壁を何十にも創り出す冷たき瞳。
自分の領域に入らせないように、自身を守るようにしてそびえたつ大きな壁。
「……そう」
君との距離は、まだまだ遠いみたいだ。
彼女はまた素振りに集中し始めた。
彼女はおそらく、死に対する恐怖がないのだろう。だから人を殺すことへの罪悪感もない。
……最初会ったときから薄々感じていたんだ。
――僕と君は似た者同士だと。
「で、なんで見てるんですか?」
目の前で刀を振るっている彼女をぼんやりと見ていると、ギロッと睨まれながらそう聞かれた。
「いや、別に。ただ興味があるだけだよ」
彼女の強さの根源とかね。
「……嘘ではないようですが、真の目的は私の監視、ですよね? 別に何もしませんよ。時間になるまでただただ素振りしてるだけですから」
へえー。僕の発言が嘘かどうかを識別するだけでなく真の目的まで当ててくるとはね。
「気にしないでよ。僕のことは空気だと思ってくれればいいから」
やっぱりただ者じゃないね。頭の回転は早いし、実力は申し分ない。僕の言動を識別できるほどの洞察力とどんなときでも適切に対処できる判断力。こんな人材、そうはいない。
自然と自身の口角が上がった。
「はあー、わかりました」
こういう子を待ってたんだ。これからおもしろくなりそうだよ。
「ねえ、君はどうしてそんなに頑張るの?」
ずっと見てるのも飽きてきたところで、集中してる彼女にそう問いかけた。
また睨まれたような気がするけど、そこはあえて流しておこう。
「強くなりたいからに決まってるじゃないですか」
単純かつ明確。そこに隠されるのは強い意志。
「どうして強くなりたいの? 今でも十分強いでしょ」
幹部でも彼女に勝てるのは半分もいないだろう。
「私は強くないですよ、全然」
ん?
一瞬、瞳が揺らいだ……。そこに隠されるのは後悔と悲しみ……かな?
「でも……」
「先程言っていた理由ですが、そんなものはありません。強くなるのは自然なことだと私は考えています。この世は今、弱肉強食の時代だと思っています。弱ければ殺され、強ければ生き残る。生きるために強くなる、そう本能が言っています」
僕の言葉を遮り、彼女はそう続けた。
先程の想いを消そうと無理やり蓋をする彼女。
君の心の欠片はどこだい?
「理由があるとするならば、復讐、ですかね」
……っ!
一瞬で、瞳が強い憎しみの色へ変わった。
「復讐?」
「私はある男を必ず殺す」
……笑ってる。自分では気づいていないかもしれないけど、微かに口角が上がってる。
それにこの憎しみの籠った瞳の後ろには快楽が隠れてる。
この子、殺すことを楽しんでいるのか?
「ある男って、誰?」
「沖田さんには関係ありません」
ピシッと壁を何十にも創り出す冷たき瞳。
自分の領域に入らせないように、自身を守るようにしてそびえたつ大きな壁。
「……そう」
君との距離は、まだまだ遠いみたいだ。
彼女はまた素振りに集中し始めた。
彼女はおそらく、死に対する恐怖がないのだろう。だから人を殺すことへの罪悪感もない。
……最初会ったときから薄々感じていたんだ。
――僕と君は似た者同士だと。