最近オープンしたアミューズメントパーク。
独自のアミューズメントもさることながら、話題のアニメや映画などと提携して完成度の高いテーマパークとして、世間から注目されていた。



さて、そんな場所にクソガキと一緒に行くとどうなるか。
しかも日曜日。
周りは人。人。人。そしてクソガキに目を奪われたギャラリー。それも所詮人。

突き刺さる視線は、人が多くなって余計に悪化している。
そもそも人ごみが嫌いな理由は、人酔いしやすい自分の体質もある。





………。やっぱり来るんじゃなかった……。




テーマパークの入り口でげっそりとしている私とは裏腹に、ちらりと見上げたクソガキのテンションはうなぎのぼりのようだ。
興奮が隠し切れずに上気した頬とさらにキラキラがました目の輝きに、周りのギャラリーからため息がこぼれた。




「ほら、いくよ。」
「あ、ああ!よろしく頼むぞ!」

何がよろしくなんだか。
まぁ、こんなに喜ばれるなら少しはこの場所に来てよかったと思う。
観念して、このクソガキに付き合ってやろう。









「ここはどういう場所なんだ?」
「ここは、まぁなんというか娯楽施設だね。遊ぶ場所。」

簡潔に応えればクソガキは、なるほど、と興味深そう周りを見わたす。
あの広告をみてここに来たいと言ったわりにはあの広告を理解していたわけではなかったらしい。
まぁ、当たり前か。クソガキにとっては初めての異世界の外に出たのだ。
派手な広告が奴の目に留まっただけなんだろう。


「よし、たまこ!遊ぶぞ!!!」
「え?ちょっ……まっ!!わあああああっ!!!」
静止の声も届かずに、私の手を握りしめて風のように走り出す。
コンパスが!足の長さが!!違うんだよおおおおお!!!


半ば引きずられるようにしながら、クソガキは物怖じもせずにアクションからホラー、絶叫系まで様々なアトラクションに挑戦していく。
言わずもがな、私はホラーも絶叫系も大っ嫌いだ。
百万円あげるからといわれても近づきたくないし、見たくもない。
ホラーなんか、逆に高笑いしながら嬉々として蹂躙してそうなのにね。とは私が学生の時の友人の名言だ。




でもクソガキには、絶対に弱みのよの字も知ってほしくない。
クソガキには、いつでも強く不遜な私でいなければならない。
でないと、おそらく…―――。


まぁ、プライドもあったのは認める。
心底拒絶していたそれらを、猛然と網羅していくクソガキを一人にするわけにもいかず。




早々に私はダウンしたのだった。