朝なのか夜なのか、はたまた昼なのか夕方なのか。


この閉ざされた空間に閉じ込められてから、どれほどの時間が経ったのだろう。



わたしはベッドに横たえていた体をそっと起こした。


そのとき、微かに奏でる金属音。


それはわたしの手首と足首に嵌められているもののせいだ。


わたし自身の顔が写るぐらい綺麗に輝いている銀の錠。


薔薇の花が刻まれていて無駄にお洒落。


少し動くだけで、錠についている長い鎖がチャラチャラと高い音を響かせる。


そのことに最初こそは不満を感じていたわけだけど、今となってはそこまで不快ではない。


これは慣れだろうか。


だとしたら慣れとは恐ろしいものだ。



寝起きのぼんやりする頭で、代わり映えのしない部屋を見渡す。


何畳なのか、考えるのも面倒になるぐらいの部屋の広さ。


床はこれまたわたしの姿が映るぐらい綺麗に磨かれていて、その色は黒。


昔こんな感じの宝石を見たことがあるけど、いくらなんでもそれではないだろう。


むしろ違うと思いたい。