ケータイ小説 野いちご

ハジマリ

***
「ジャン、おい、ジャン!起きろ!」
「!」

どうやら俺は眠っていたらしい。
目の前のエレンを見ると
エレンはやっと起きたかと言うように
大きくため息をついた。
「わ、悪い、ありがとう」
慌てて謝り微笑みながらお礼を言うと
エレンが驚いたような顔でこちらを見る。

どうしたのかと尋ねようとした時
エレンが少し焦り気味に尋ねる。
「な…なんか、
変なもんでも食ったのか…?」
物凄く不審そうな顔で、且つ警戒しつつ。
「いや…食ってないと思う…?」
正直にそう答え、俺が頭にハテナを
浮かべているのに気付いていないのか、
エレンは「気持ち悪っ…」と呟きながら
ミカサの方へ行ってしまった。
俺は未だに取れないハテナと共に
ミカサの元へ向かう。
「ミカサ。悪い、寝てた」
「…大丈夫。」
(一瞬怪訝そうな顔をされたのは気のせい…
だな、うん。←)
いつも通りの素っ気ない返事をする
ミカサの横で子供みたいにエレンが喚く。
「なっ?おかしいだろ?」
そうミカサに講義するエレンの行動が
俺には理解出来なくて
思わず声を荒らげた。
「な、何がだよ!」
エレンとミカサは静まり返って
こちらを見ている。
ヤバい、言い過ぎた、
そう思い謝りかけたその時、
遠くでアルミンが呼ぶ声が聞こえた。
どうやら昼休憩が終わるみたいだ。

今日は訓練で朝から立体機動の特訓。
その後、昼をはさみ暗くなるまで、
というのが今日の内容だ。
課題が各班によって
それぞれ違う議題が出され、
ミカサ、エレン、アルミン、俺の四人が
班のメンバーだ。

エレンはアルミンのところに行くと
先程ミカサにも言ったような内容を
もう一度言っている。
アルミンは困ったような顔で
エレンの話を聞いている。

俺はふとエレンの頭に
ゴミがついているのを見つけ、
手を伸ばすと
エレンはバッとこちらを向き、
瞬時に俺と距離を置き、
ミカサはエレンと俺の間に入って
エレンを庇う姿勢で俺を睨み付ける。
「ふ、二人共、どうしたんだよ?
俺はただ頭についてるゴミを…」
「嘘、そんなこと言って
エレンを後ろから襲おうとしたくせに。」
「お前!だから変だったのか!
俺に油断させようと…!」
「ま、待て待て待て!
な、なんだよ!そんなことしねェって!
見てみろよ!前髪のとこにゴミが!」
自分の前髪を指しながら
エレンの方に視線をやる。
ミカサがこちらを警戒しつつ
慎重にエレンの方を見て…
「…本当だ。」
ミカサが信じられないと言うような顔で
エレンの頭からゴミを取り
エレンの顔の前に持ってくる。
エレンもミカサも一瞬固まって、
おかしいだとか信じられないだとか
口々に口論を始める。

「…本当…どうしたんだよ…」
その呟きを聞いたただ一人、
アルミンは少しの間、ジャンを見ていたが
ふっと視線を逸らし、
未だ口論し合ってる二人に向かって
声をかける。
「さ、行こ。早くしないと遅れちゃうよ」
アルミンが先に行き、二人共後を続く。
一先ず安心して三人の後を着いていこう…
とするが足が動かない。
待って…待ってくれ…!
声が出ない。
息が出来ない。
苦しい。
助けて。
嫌だ。
置いてかないでくれ。
たの…む……………
そこで俺の意識は途切れた。
***

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