「お前は要らない子だ」
物心つくより以前に、毎日聞かされ続けた言葉。
そのせいか、笑うことなんて知らないまま育った。
それでも毎日毎日、消えろとか要らないとか、存在を否定され続けてきた。
「俺がいるから」
死のうと思ったこともあったけど、いつだって繋ぎ止めてくれていたのは、腹違いのお兄ちゃん、汐弥だった。
頬を打つ振り下ろされた手の跡を撫でてくれるのも、お兄ちゃんだった。