終話をタップして、ふぅと息を吐き出した。
きっと今頃彼女の脳内には、ドーパミンが大量に放出されただろう。
俺は手元のエアーメールに、再び視線を落とした。読んでいる途中で、瀬戸さんからの電話が入ったのだ。
噂は聞いていたが、彩美が日本に帰ってくる。
小嶋 彩美。僕の昔の恋人。
太陽のように明るく、聡明な彼女に惹かれた。
同じ学部で、学生時代はいつも隣に彼女がいた。
自分にないものをたくさん持っていて、僕を埋めてくれる。
そんな彼女から、届いたエアーメール。
『14日18時に、日本に着きます。空港まで迎えに来ない?』
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