「あった…見ろ」

ジャンキーの落下してきた、雑居ビルの暴力団事務所二階。

室内は多くの組員が血塗れのまま倒れ、ある者は息絶え、ある者は体の一部を食いちぎられて重傷を負っていた。

そして、その事務所のテーブルの上に置いてあった粉末…。

「バスソルトだ」

クリスは言う。

バスソルト…その名は巽も聞いた事がある。

粉末や半透明の結晶で、一見、本物の入浴剤のようだ。

商品パッケージのデザインも洒落ている。

しかし、これを水に溶かし、炙って吸ったり、またはハーブに噴霧して吸ったりすれば、最早『人間』でなくなってしまうという。