「大丈夫だった?怪我、してない」

その返事にこくんと頷くと、どこか安堵した様な表示を浮かべる彼。

安心したのか、やっと私を手の中から解放してくれた。


あれから、聖騎士達を巻いた後。
彼に連れられ、少女は川の近くまで移動していた。

久しぶりに走ったからなのか、呼吸が落ち着くまでに時間がかかってしまう。

そんな私の前には、息一つ乱れていない青年がいる。

あれだけ、私を抱えながら走ったのに。

ますます彼は何者なのか、疑問が大きくなる。
それに、私は奴隷だ。
怪我をしていないか、などと問いかけてくる事自体が珍しく、思わず目を丸くしてしまった。