月曜日。
お昼休みを知らせるチャイムが鳴り、みんな慌ただしく動き始める。
「千夏ー、ご飯食べよー」
「んー、ちょっと待ってー」
教室の端からお弁当を持った女の子に話しかけられ、あたしは机の上に乗る教科書を押し込むように引き出しに入れた。
こんなあたしにも、友達くらいはいる。
「ねえ、まだー?お腹空いたぁ」
「待ってって。まだ弁当取ってない」
教室の後ろにあるロッカーから鞄を取りだし弁当を探しているあたしに、いつの間にかあたしの背にいた女の子が不満そうに言う。
あたしの幼馴染、河野美和(かわのみわ)。
生まれた時からほぼずっと一緒の友達。
だから、夏希のことも知っている。
でも、あたしが殺したことやそれで今も苦しんでいることは知らない。
弁当を鞄から出したあたしは、美和と机を向かい合わせて弁当を食べだした。