ふわりと風が横切った。
君からいつも香る蜜柑色の風だった。

後ろを振り向けば、君の茶色がかった癖っ毛がちらりと見える。

けれど、私はスッと前を向いて帰る仕度を続行した。荒々しくペンケースや携帯なんかをくしゃくしゃの鞄の中に放り込む。
「あー…もう腹立つ……」
小さく愚痴をこぼして鞄を手に教室を出た。

昨日のことがあるが行かなければ
「いつもの場所に……」