「なんなの?あの人!」



「おねーちゃん怒ってるの?」



「あ、いや、違うよ。

早くお引っ越ししようか。」



「うん……」



さくらを不安にさせたらダメだよ。


何やってんだ、私。




七尾くん……学校だとフツーに優しい人に見えるのに。

私が近くにいないから美化してるだけだったのかな。




あそこまで冷たい人だとは思わなかったよ……。




実家まで戻ると、

既に引っ越し業者の人が来ていた。




必要なものだけ持っていって、

使わない服やタンスは売れるものは売って、後は全部捨ててしまった。



これで身軽になった……って思えばいいよね。




今まで一緒に生活してきた家具を捨てるのはすごく悲しい気がして、

必死に頭の中をごまかした。