近所のスーパー「みれいゆ」は安いのは良いが、店舗面積が狭く買い物をするのにいつも苦労する。
特に幼児と一緒に買い物をする時は大変だ。
「こら、ひろむ!走り回らないの!」
ひろむはこちらの機動力が鈍っている隙にお菓子コーナーに走って行ってしまった。
私は仕方なくひろむの後ろを追いかけた。
ひろむが私の言うことを素直に聞いた試しがない。
両親の海外生活が長く、まともに家にいないせいか、ひろむに寂しい思いをさせまいと姉弟みながこぞって甘やかしてしまうのだ。
もちろんひろむは私にとっても可愛い弟だが、母親代わりを自負している姉として、どう接するかいつまでも経っても正しい結論が出ない。
それが、ひろむの甘え癖に拍車をかけていることは十分承知していた。
どうにかしないと、と思い直してひろむの姿を探していると、どこからかドサドサと床に物が落ちる音がした。