「どうも鈴木です……」

よろしくと誰ともなく言うと、各々が一斉に動き出した。

夕飯までの時間は自由時間なのか各々の過ごし方があるようだ。

とりあえず空いているリビングのソファに腰掛けるとようやく息を吐く。

台所からは良い匂いが立ち込めていて、空腹の胃を否応なしに刺激した。

勢いだけで上がり込んだものはいいものの、よく考えたら一人っ子だった自分にとってこの空間は異質だった。

こういった大人数の中に放り込まれた時にどうしたらいいのかわからないのだ。

何とはなしに台所に立つ彼女の姿を盗み見る。

ピンクの花柄のエプロンがよく似合っていた。

会社では見られない姿が新鮮に感じられる。

彼女は一体どういうつもりで食事に招いてくれたのだろう。

鈴木と名乗った瞬間、彼女の瞳には驚愕の文字がくっきり表れていた。