叶side

目を開ける。
だんだんと視界がはっきりとしてくる。
病院特有の薬品臭い匂いがする。

(今回の発作は、酷かったな。)

そんなことを思いながら周りを見回した。
すると、
私の手を握り締めて寝ている
咲が目に入った。
手にはとても力が入っていて
咲の頬には涙の跡がついていた。

(心配させちゃったな。)

私も握り返すように手に力を入れた。

「ん…。」

こう見ると咲はかっこいいと思った。
長いまつげ
スッと通った鼻
薄く形のいい唇
そっと、私は咲の頬の涙を拭った。

「か…なう?」

形のよい唇から
私の名前が呼ばれる。

「さく、咲、起きて。」