ケータイ小説 野いちご

てのひらの温度

Sec.6 吐き出す


いつの間にか眠っていたみたいだ。一旦目を開けると、光の眩しさに思わず目を閉じた。


「あ、起きた?」

「うーん」


重い上半身を起こす。寝違えたのか、硬い畳で寝たせいか、少し首が痛い。

紺はさっぱりした顔で浴衣を着て、どこかで買ってきたらしいお弁当やらお菓子やらを食べ散らかしている。


「女将さんが、夕飯七時頃でいいですか、って。いいですって答えといた」

「今何時」

「三時ちょっと前」

「私もおなかすいた、何かないの」

「ちゃんとウタの分も買ってあるよ。当たり前じゃん」


ふーん。なんだ、意外と気が利くのね。確かにこの気の遣いようがあれば、ホストも務まるのかもしれない。


「ウタって幕の内好きでしょ」

「なんで」


したり顔で幕の内弁当を差し出す紺。たしかに好きだけど、いろんなことを話したけれど、こんなこと言ったかな。


「最初に会ったとき食べてたじゃん。食べ終わった弁当の容器がコンビニの袋から透けてた」

「へえ、結構見てるんだね」

< 49/ 70 >