どうも、花の16歳で青春真っ盛りな私こと藤咲いろはことどうやらこの主人公…らしい。

何でらしいって曖昧なのか自分が聞きたい気分だ

さて、今私はちょっとした後悔に悩まされている最中だ。その理由は…


「あのさ、さっさと選んでくれない?」

「……」

はーいシカトー。ま、慣れているんだけどさ

このシカト野郎は私の幼馴染の月宮有栖。野郎ってことは男なのだが、ムカつくほどに美形なのだ。なんでこんな奴と一緒にいるのかと言うと、単純に家が隣同士ってことだ

今、近所のコンビニなのだがなぜ、こんな所で足止めをくらっているのかと言うと…コイツはとてつもなく優柔不断なのだ。全くいい迷惑のなんの

「チョコレート味かメープル味か…」

…お願いだから早くしてくんないかな…遅刻するんだけど

「んーーーー…」

「……」

「ぬーーーん」

あ、もう駄目だ

私は我慢の限界に達してしまい、ぐわしとメープル味を引っ掴んだ

「ああっ!」

「うだうだしてんじゃないわよ!遅刻すんでしょーが!」

すると、有栖は生意気にも私を睨みつけてきた。男尊女卑かもしんないけど、男なら直感で選びなさいよ。私はそうだし

「…いろはさ…もうちょっとかわいらしく接する事が出来ないの?そうすれば…0.3割増し位には可愛くなってモテるよ?」

余計なお世話だ。

「なによ、その微妙な数値は!」

「…俺的にかなり融通したんだよ?」

…今、この場でコイツにローキックをかましても良いはずだ

「散れ」

「…最近思うんだけどさ、いろは、俺の扱い酷いよね」

構うものか。さっさとレジ行って来い

出せる限りの威圧を込めた視線をアホ有栖にむけると渋々レジに向かったのだった






「あはははっ!まーたコントやってたんだ!」

「…笑い事じゃないよ…もー…」

あの後、ギリギリセーフなところで教室に入ったのだが、奴は澄ました顔で自分の席に着いていた。私より体力があるのは知ってたさ。だが、もう少し余裕をくれないだろうか。こっちは本当に毎日必死で、死活問題にあたるのも時間の問題だと思うのよ

「それにしても、氷の王子様がねー…あの冷たい美貌とは裏腹な性格してるとは…ププッ」

時間の流れが速いのは申し訳ないんだけど、その後の午前の授業は何事もなかったので総カットと言う事で。

今は昼休みだ。親友の鳴海と共に昼食をとっているところだ。そして、今朝の出来事を報告するのももう日課になっている。最初、鳴海もこの話を聞いて半信半疑だったのだが、毎日のように話されると嫌でも納得してしまったらしい

「ぬぅなぁにが、氷の王子様よ、おとぼけのすっとこどっこいの間違いでしょ」

「あはっ!言えてる」

あ、さっきから恥ずかしい渾名が飛び交っているのだが、氷の王子様はあの有栖のことだ。何も知らない人から見るとあの美貌と普段無口な事からそう呼ばれているのだ。黒髪にアイスブルーの瞳でそうなのだろう。

自分から見たらへーそう。と言う感じだ。むしろ、おとぼけ変人の間違いじゃないだろうか

なんでそんなに貶めるのかと聞かれたら、あいつの本性と性格と行動を知っているからとしか言いようがない

「はぁー…早くあいつにしっかり者の彼女でも出来ないかな…ホント」

こうして毎日その願いばかりしていた私に転機が訪れるのもそう遠くはなかった