季節は巡って夏。
待ちに待った夏休み……………………
ではなく。
夏のバドミントン部強化合宿in神奈川。
合宿所に着くと目の前には海!
「海ィ!!菜月っ!泳ぐよっ!」
「え?晴………………私水着持ってきてないよ?それに……晴は足痛いんでしょ?」
「あ、そーだった!」
「ダメじゃねーか。(笑)」
「先生っ!」
「つか、泳ぎに来たわけじゃねーし!
バドしに来たんだろ!!」
「す、すいません。」
「早くウェアに着替えて体育館に集合!10分後な!!」
「はーい!」
体育館に集まってウォーミングアップを始める。
晴は夏休み初日に足をひねって捻挫中。
「今日のメニュー言うぞ!きーとけ!」
先生が部員に呼びかける。
「2人で組になってラリーの練習。それから、そのペアでスマッシュのトレーニングな。」
2人組………………。
「んで、一人余るやついるから……その人は俺と。」
「「はーい。」」
次々とペアを作り出すみんな。
晴は……捻挫してるし…………
私が先生と出来るかも?
なーんて思ってたら、
後ろから声をかけられた。
「菜月!俺と組もうぜ!」
「た、貴くん?」
声をかけたのは私の1個上の先輩の
松本貴宏(まつもと たかひろ)だった。
ちなみに幼なじみ。
「石井見学だろ?余ってんなら俺と組め。」
「ん。いいよ。」
チラッと先生の方をみたら目があった。
ドキッ))
ダメダメ!
合宿中は集中しないと!
先生から目を逸らして
貴くんとペアを組む。
一瞬、先生の表情が曇ったような気がした。
「菜月ー、最近元気かー?」
ラリーをしながら貴くんとおしゃべり。
「元気だよ?」
「一人暮らしは?」
あ、貴くんは知ってるんだった……。
「う、うん。
楽しいよ?」
週2で先生とご飯食べてるし♪
「一人ってさみしくね?」
「……うーん……そーでもないかな?」
呼べば先生来るし……
「いつでも寂しかったら言えよ?」
「あ……あ、うん!」
貴くんは昔からすごく優しい。
背が高くてスタイルよくて。
先輩の間でモテモテ。
まぁ、わたし的にはお兄ちゃん的存在。
貴くんと談笑してたら
先生が私達の方を見ている気がした。
ん?
なんか、先生怒ってる??
「菜月!」
突然貴くんの声がしてビクッとすると
シャトルが足元に落ちた。
「あ…………。」
「大丈夫か?ボーッとしてたけど。ラリー外すなんて菜月らしくないぞ?」
「ご、ごめん。」
「……スマッシュの練習の方に進むか?」
「あ……うん。……ホントごめん。」
ダメ。
先生のことしか頭に……入らない。
それに…………。
先生とペア組んでる後輩の桜ちゃん……
絶対先生のこと好きだもん。
あぁ!もう!!
「菜月、大丈夫か?さっきから怒ったり、沈んだり……」
「だ、大丈夫!そ、それより!スマッシュ早くやろ!」
「おぅ……落ち着けよ?」
そう言って貴くんに頭を撫でられる。
初日の練習はあっという間に終わっていった。