夜の二時。
全ての生き物が寝静まる、丑三つ時。





そんな時間帯に、突如ガラガラと道場の門を開ける音が響いた。


ハッとして、布団から体をおこした。

…こんな時間に一体誰が?




横で寝る父と兄も起きたのが分かった。





「父上、どうしますか?」


兄が小声で問いかける。





父が気配を消して立ち上がった。
その手には刀を掴んでいる。


「私が見てくるから、お前達は気配を消して待っていなさい。
…間違っても出て来たりはしないように。」



静かに襖を開けた父。



なんとなく、もう父には会えない。
そんな気がして不安になった。