ひどい湿気で私は吐きそうだった。


ぐっちゃ、
ぐっちゃ
ぐっちゃ。


「おい。こっち来てみろ」
慶太の声がした。

私たち4人は懐中電灯を一箇所に集中させた。
奈落のような闇の中に、下り階段が浮かび上がった。

「どこに通じてるんだろう」
晃は中を少しのぞいた。

「まさか行かないよね?」
私はいった。

思えばこれが引き返す最後のチャンスだった。