これは、想像もつかない話だろうけど。
愛する人の心が読めることと、
愛する人に心を読まれてしまうこと、
そのどちらがつらいんだろう。
私も、そんなこと一度も考えたことなかった。
斜め前の席の天才君の秘密を知るまでは。
そして、その秘密を知らないと迎えることはできなかった。
たとえ息を潜めるような生き方になったとしても、そばにいたいと願う日を。
『君だけに伝わればいいよ』。
そう言って泣いた君を、私はずっと忘れない。
※書籍化作品のため、第四章までの公開となっております。
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「俺は、人の心が読めるんだ」――。高校生のサエは、クラスメイトの日向から、ある日、衝撃的な告白を受ける。休み時間はおろか、授業中でさえも寝ていることが多いのに頭脳明晰という天才・日向に、サエは淡い憧れを抱いていた。ふとしたことで日向と親しく言葉を交わすようになり、知らされた思いがけない事実に戸惑いつつも、彼と共に歩き出すサエ。だが、その先には、切なくて儚くて、想像を遥かに超えた“ある運命”が待ち受けていた…。