「わー、始芽ちゃん、やっぱり何をさせても上手ね~!」


次の日。

梅雨前線の去った青空の下、あたしはトンカンとトンカチで釘を打ち付けていた。

ささやかばかりのベランダの上、外れかけていたトタン屋根を補強中。

いわゆるDIYは、世間で流行る前からやっていた。


「おー、ホントだ。職人並の手さばき。お前、ほんと逞しい女なんだな」

「……っ」


それをお母さんと二人、部屋から眺めているこの男。

春名唯聡。

昨日のことですっかりお母さんの懐に入り込んだ(というか、お母さんが勝手にあたしの彼氏だと勘違いしている)春名が、感心していた。


「……何なら変わって頂いてもいいのですが……?」

「あー無理無理。そういう職人技は、ボンボンの俺には無理だわ」

「そうねー。唯聡くんがトンカチ振り回してるイメージはないかもー」


そう言って、春名と顔を合わせ、うふふとお母さんが笑う。

お母さんがあたし以外の人と談笑する。

それはこの上なく素晴らしいことだけど、この現状は頂けない。

なんで春名が我が家に上がり込み、お母さんとお茶を飲みながら、あたしの修繕作業を眺めていないといけないんだ!


逆だろ、普通!

こういう時、変わってくれるってのが、紳士的な男性のすることじゃないの!?