悔しいけど、アイツらには勝てる気がしない。でも強いヤツと戦えるのは楽しい。わくわくする。次はどう仕掛けてやろうかな、ふふふふーん。

 ……なんてニヤけていたら、クラスメイトの鬼龍に「お前はどこぞの戦闘民族か」って突っ込まれた。

 色んな星を旅してきたけれど、そんな民族に会ったことはない。詳しく話を聞いてみたら、戦闘時に気合入れると黒い髪が金髪に逆立つんだとか。なにそれ、カッコイイ!

 俺も修行したらそんな風にならないかな! って大興奮したら、その戦闘民族の武勇伝を認めた漫画を、瑠璃に貸してもらえることになった。読むのが楽しみだ! 

 でも俺、まだ日本語全部読めないんだよなー。喋るのは星の力が自動翻訳してくれるから大丈夫なんだけど、さすがに読み書きは別らしい。半年も頑張ってるんだけどな。なかなか覚えられない。

 今日も家に帰ってから、琴音が用意してくれた小学生の教科書で文字の勉強をした。

 リィは絵でも描いているみたいに楽しそうに──無表情だけど鼻歌歌いながら書いてた──文字をスラスラノートに書き写していて、もう平仮名もカタカナも全制覇してしまっていた。漢字もポツポツ覚えた。なんでそんなに覚えるの早いの? って訊いたら、形がかわいくて面白いから頭に入りやすい、だって。なんだそりゃ!

 おまけに、魔法陣見たときも目がキラキラしてたけど、数式とか図形とか見たときもキラキラしていた。

 ぽやーっとした顔で、嬉しそうに頬を染めて数字を書き連ねていく姿は、俺には理解出来ない。

 何が楽しいのって訊いたら、逆に不思議そうな顔をされた。

 どうやら魔法陣を描くときの術式に通じるものがあるらしい。……召喚するときのリィの頭の中はこんなわけわからん数字と図形でいっぱいなのか。うう、理解出来ない。